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コロナ禍でフリーランスが急増。デジタルスキル習得のニーズを受け ランサーズが仕事連動型の教育サービスをスタート

クラウドソーシング仕事依頼サイトを運営するランサーズが、新しい個人の働き方を支援する教育サービス「Lancers Digital Academy」をスタートする。その背景の一環であるフリーランスの実態調査と共に取り上げる。

ランサーズは11月12日、事業戦略および新サービスの発表を行った。同社は「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」をビジョンに掲げ、個人と企業をオンラインでマッチングする受発注プラットフォームを運営している。

コロナ禍では、個人の働く環境や生き方に大きな変化が起こった。ランサーズでは、こうした働き方の変化に伴う市場動向を探るため調査を行い、「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」(※1)としてまとめた。新たな事業展開は、この調査結果を踏まえ、今後の個人の働き方を予測して立てられたという。

自由業系・自営業系フリーランスが増加

新・フリーランス実態調査によると、2021年10月時点での日本のフリーランス人口は1577万人、経済規模は23.8兆円になるという。2015年の調査と比較すると人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)増加した。2020年2月の調査では人口が1062万人だったことから、コロナ禍でフリーランスが急増したことが分かる。

新_フリーランス実態調査_2021-2022年版P8

フリーランスを「副業系すきまワーカー」「副業系パラレルワーカー」「自由業系フリーワーカー」「自営業系独立オーナー」と4つのタイプに分け2020年2月の調査と比較した結果では、自由業系と自営業系が特に増えていた。また、77.1%のフリーランスが「自身の仕事に対してプロフェッショナルな意識を持っている」と回答しており、意識の高さがうかがえる。

新_フリーランス実態調査_2021-2022年版P10

4つのタイプ別フリーランス詳細

オンラインで働くフリーランスは、より短時間勤務で報酬額が高い

2021年10月までの1年間にオンラインで仕事を完結させたことのあるフリーランスは53.2%(839万人)となった。オンラインで働くフリーランスは、フリーランスの平均よりも年間報酬額が10万円ほど高く、1週間の勤務時間が1時間短いことも分かった。ランサーズは「時間や場所を選択し、自分に合った働き方をすることで効率的に働けるようになった」と考察する。

新_フリーランス実態調査_2021-2022年版P17

オンラインで仕事をするフリーランス

デジタルスキルへの関心、実際のキャリアチャンジ後の満足度

学習への意欲に関しては、20~40代のフリーランスはプログラミングやウェブデザインといったデジタルスキルの「リスキリング(学び直し)」に興味を持つ人が多かった。50代以降は、20〜40代に比べて率は少なくなるものの、外国語や動画撮影・編集などへの関心があった。ただし、学び直す上で、金銭的な余裕、モチベーション、時間など様々な面で不安がある人も70%以上と少なくない。

一方で、スキル習得後に仕事獲得につながったり、異業種へキャリアチェンジしたりしたものの収入に満足していない人(あるいは「満足しているともしていないとも言えないと回答した人)」は半数以上の57.0%となった。

新_フリーランス実態調査_2021-2022年版P23

今後習得したいスキル

年収アップを視野に入れた仕事連動型の学習サービス

ランサーズは、こうした調査結果などから「学ぶ機会と仕事獲得が連動したキャリア形成は現在の日本で確立されていない」と捉え、2022年上旬から、新たな教育サービス「Lancers Digital Academy」をスタートするとした(※2)。

Lancers Digital Academyは、デジタルスキルの学習(オンライン動画教育)とスキル認定によるフリーランスへの価値付けから、案件紹介までをサポートする仕事連動型の教育サービスになるという。

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予定されているデジタルスキル教材のコンテンツ

新サービス発表の席でランサーズ代表取締役社長CEOの秋好陽介氏は、「ランサーズのプラットフォームで、よりスキルの高い個人を増やすために、世の中に求められているスキルを明確にコミットして学んでもらう。ゴールは年収レベルを上げること。日本には、この視点がなかったと思う」と、従来のデジタルスキル学習サービスとの違いを述べていた。

ランサーズは、Lancers Digital Academyの公開に先駆け、事前登録サイトをオープンしている。事前登録をすると、本サイト公開や新教材リリース時に優先的な案内を受けることができるそうだ。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員

トップ画像:iStock.com/nortonrsx
本文中画像:ランサーズ提供
編集:タテグミ

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参考資料
(※1)ランサーズ、「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」、2021年11月 
https://speakerdeck.com/lancers_pr/xin-huriransushi-tai-diao-cha-2021-2022nian-ban

(※2)「ランサーズ、業界初の仕事連動型・教育サービス「Lancers Digital Academy」を開始」、プレスリリース、2021年11月12日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000010407.html